メル友Value
The training of Naoe
?!
〜 直江の調教?! 〜
- Lesson 1 -
朝靄が立ち込める中、高級マンションの前に佇む人間が二人───
一人は緩いウェーブのかかった長い髪の女性。
もう一人は眼鏡をかけ、少し長めの髪を後ろで尻尾のように括っている。
2人は何故か、やや緊張した面持ちで聳え立つマンションを見上げていた。
「・・・よし、準備はいいか?」
「いつでもOKよ!」
「じゃあ、そろそろ行きますか」
2人は互いを見て頷くと、そのマンションへと入って行った。
「ねぇ、ホントに寝てると思う?長秀」
「あぁ、もう7時だぜ?いくらアイツが元気でもこの時間はもう寝てるって」
エレベーターの中で心配そうに聞いてきた綾子に、千秋は平然と答えた。
「なんの為に昨日、早い時間から宴会したと思ってんだよ。あれだけ飲んだって、その後どうせ景虎とイチャついてんだ。絶対に寝てる!」
「・・・そうね、いくら早起きする直江だって休みの日くらいはゆっくり寝てるわよね」
千秋の言葉に勇気付けられたのか、綾子も緊張していた顔つきが変わった。
「思念波は使わねーからな。気づかれるとマズい」
「わ〜かってるわよ!《力》も使わないでいいように、昨日景虎の持ってる合鍵拝借したんだからぁ!」
「・・・へいへい、判ってますって」
さっきまでの態度は何処へやら。
胸を張って鍵を片手に話す綾子に、千秋は呆れたように答えた。
ポーン ───
目的の階に着いたエレベーターがゆっくりと扉を開けた。
2人は闇戦国の戦闘時さながらの厳しい顔つきで廊下にゆっくりと足を踏み出した。
実はこの2人、何を思ったのか高耶と直江の寝起きを見ようとやって来たのだ。
寝起きと言うよりは、
起きてすぐに行われる行為、
又は
寝ないで行われている行為
がどんなものか覗きに来た、と言う方が正しい。
誰かが泊まりに来ている時はさすがに直江も我慢する(と言うより高耶に止められる)ようなので、見る事は出来ない。
ならば、こっそり忍び込んで朝のお勤めを拝見しようという事になったのだ。
気配で感付かれないようにと、昨夜はアポ無しで押しかけ、直江を集中的に浴びるほど飲ませた。
いくら酒の強い直江と言えども、ボトル3本に日本酒1升、おまけにビールと焼酎etc・・・とくれば嫌でも爆睡するだろう。高耶は元々酒が弱いし、酔っていなくても、
直江によって疲れて寝るだろう
と踏んだのだ。
そんなドンちゃん騒ぎの中で、綾子は高耶の合鍵を気付かれないよう、こっそり外して隠し持った、という訳だ。
これで準備万端である。
部屋の前まで来て二人は揃って2回ほど深呼吸をし、ガバッとドアの前に屈み込むと、意を決して綾子がそっと鍵を差し込んだ。
「・・・・・音立てんじゃねーぞ」
「判ってるわよ!静かにしてっ!」
小声で言い合いをしていると、カチッ!と小さな音を立てて鍵が開いた。
2人は見合うと無言でガッツポーズをし、千秋がニヤリと笑いながらドアノブに手をかけた。
「さ〜て、行きますか・・・
」
今、ゆっくりと禁断の扉が開かれる ────
少し開けたドアから中を覗くと、室内は各部屋のドアや遮光カーテンのせいで薄暗い。
それにとても静かだ。起きている様子はない。
昨夜の騒ぎが嘘のように部屋の中は片付いているようで、寝る前に飲んだのか微かにコーヒーの香りがした。
一度ドアを閉めると、千秋と綾子は眼で合図し、扉の前で靴を脱ぎ、それを持って玄関に入った。
そぉ〜っと扉を閉めて、注意深く室内の様子を探る。
どうやら予定通りによく眠っているようで、室内には物音ひとつしない。
いくぞ!というように綾子を見て、千秋は第一歩を踏み出し、綾子もそれに続いた。
音を立てないように・・・・・・
気配を気付かれないように・・・・・・・・・・
抜き足・・・差し足・・・・・・と、そ〜っと寝室へ近づく。
すると、何かに気づいたのか、前を歩いていた千秋が突然立ち止まった。
綾子は音を立てないようにと足元を見ていたので気付くのに遅れ、千秋の背中にまともにぶつかってしまう。
「
わぁっ!!何すんだよっ!
」
「アンタが急に止まるからでしょっ!」
蚊の鳴くような声で怒鳴り合っていたが、千秋が寝室のドアをブンブンと手を何度も振るようにしながら指差した。
「声っ!あそこから声が聞こえんだよっ!」
「えっ?!・・・・・・あ、ホントだぁ」
僅かではあるが、確かに寝室から声が聞こえる。
2人は意味有り気にニヤリと笑い、寝室へとまた歩を進めた。
すると・・・・・・・・・
「・・・ねぇ、中の様子はどうなの?」
『わぁぁぁぁぁっ!!』
『きゃぁぁぁぁっ!!』
突然、誰もいないはずの後ろから声を掛けられ、千秋と綾子は声にならない声で叫び、文字通り飛び上がると、大げさなアクションで振り返った。
「なっ・・・な・・・・・成田ぁっ!何でお前がこんな所にいるんだよぉっ?!」
声を掛けた人物を見て千秋は胸に手を当て、未だにバクバク言っている心臓を落ち着かせるようにしながら怒鳴った。
「え?だって昨日の宴会って、何か企んでたからなんでしょ?それくらい分かるよ。だから僕も参加しようと思ってね
」
にこやかに話す譲を見て、2人はホッとしたように溜息をついた。
「・・・だからって脅かすような事すんなよ!ビックリしただろうがっ!!」
「ほんっと、驚いたわぁ〜。でもいいじゃない。みんなで楽しみましょ
」
すっかり立ち直った綾子は早く行こう、と言う様に千秋の袖を引っ張った。
「そうだな。じゃ、3人で行きますか・・・」
気を取り直した千秋を先頭に、綾子・譲の3人は改めて寝室へと近づいて行った。
「・・・・・・やっぱ何か聞こえるぞ」
「ホント・・・何してんだろ?高耶」
「そんなの決まってるでしょ!ふっふっふ・・・
」
綾子の怪しげな笑いを無視し、目的地へとそっと近付いて行っていたが、また千秋が不意に立ち止まった。
「ぶっ・・・!」
「わっ!!」
後ろの2人は、まるで玉突き事故の様に前の人間へとぶつかった。
「もうっ!急に止まんないでよっ」
「そうだよ、どうしたんだよ千秋」
譲と綾子はぶつけた顔を押さえながらムッとした表情で千秋を見た。
2人揃って文句を言われた千秋は一瞬仰け反ったが、気を取り直してまた目的地を指差した。
「バカヤロー!ドアが開いてんだよっ!」
「え?・・・」
「うっそ!・・・あ、ホントだわ」
今まで暗くてよく判らなかったが、近くまで来て寝室のドアが少しだけ開いているのが判ったので、千秋は慌てて止まったのだ。
「こりゃ、面白いもんが見られるぞ・・・
」
「え?千秋、寝てるの見るのが何でそんなに面白いの?」
「やだぁ、譲君!ベッドでする事って言ったら決まってるでしょっ
」
「・・・・・・?」
譲の言葉に、綾子がベシベシと譲の肩を叩きながら笑っている。
綾子の言っている意味が理解できないのか、譲は?マークがいっぱい・・・という顔だ。どうやら違う目的で来たようであるが、ここまで来て説明するのも面倒なので、千秋はとりあえず無視する事にした。
「さて、中はどうなっているやら・・・」
千秋は緩んだ顔もそのままに、ドアに手をかけた。
「ちょっ、ちょっと長秀!拙いんじゃない?!」
「いーんだよ。どうせ夢中で気づかないって」
派手なシャツの裾を引っ張り止めようとした綾子に、千秋は笑いながら言う。
「あ、それもそうね」
「・・・・・・?」
千秋は扉を少しだけ開けて中を覗いてみた。
「・・・・・・どう?長秀っ」
「千秋、高耶たち起きてる?」
「・・・・・・・・・」
後ろの2人は千秋に早く状況を説明するよう急かせて聞いてくる。
暫く無言だった千秋がそっとドアを閉め、後ろを振り返ってボソッと呟いた。
「・・・・・・・・・いない」
「へっ?!」
「えっ?何で景虎達いないの?!声聞こえてたじゃない!」
「2人がいるのはこの部屋ではないぞ」
『うわぁっ!』
『きゃぁぁぁぁぁっ!』
『げっ!出たっ、カラス野郎っ!』
顔を付き合わす様にして小声で話していた3人は、突然降って沸いたような声に飛び上がるようにして驚き、そこに立つ人物を見て怒りの表情を露にした。
「なんでテメェがここにいるんだよっ?!」
「そうよ!脅かさないでよっ!」
「ふっ・・・、鵺からの情報でな。お前達が何やら面白い事を企てていると聞いて参上したのだ」
高坂は腕を組んだまま、妖しい笑みを浮かべながら千秋達を見下ろしている。
(・・・・そういやぁコイツはこーゆーヤツだった・・・)
高坂が神出鬼没だと言う事を思い出した千秋は、気を取り直すと高坂をチラリと見上げた。
「・・・で?その様子じゃ知ってんだろ?景虎達はどこにいんだよ」
立ち上がった千秋が高坂に詰め寄ると、フンッと鼻で笑った高坂はゆっくりと手を挙げある場所を指差した。
高
「あそこだ」
綾
「えっ?」
譲
「あれ?あそこって・・・、確か直江さんの書斎だよね?」
高
「然様。声がするのはあの部屋だ」
千
「・・・あんな所で何やってんだ?直江のヤツ」
綾
「いつもと趣向を変えたかったとか
」
譲
「直江さん、仕事してるとか・・・」
暫く4人で顔をつき合わせていたが、求める答えはその扉の向こうにある。
全員の意思が一致したというように、お互いに眼を合わせて無言で頷くと、4人は書斎の方へと近づいて行った。
書斎の扉の前 ────
怪しい4人組は寝室前から難なく移動し、今はドアに貼り付くようにして中の様子を窺っている。
千
「・・・・・・、確かにここみたいだな」
高
「だから言っただろう」
疑っていたのか、と呆れ顔の高坂に今度は綾子が食ってかかる。
綾
「でも高坂ぁ。ここにいるのが判るんなら、その鴉使ったら窓の外から中が見れるんじゃないの?」
高
「生憎、カーテンが閉まっていたのでな・・・」
溜息交じりに話す高坂を不思議そうに見上げながら、譲は先程から思っていた疑問を口にした。
譲
「・・・ねぇ、でもさぁ。寝てないと脅かす意味ないんじゃないのかな?」
何気に言った譲の一言に、驚いた3人の視線が一斉に譲に向く。あまりに息の合った動作に譲は逆に驚いてしまった。
譲
「な・・・、何だよっ?」
今までの会話の中に答えが散乱していたというのに、やはり譲は全く気付いていないようだ。
後から参加した一人を除いて、残りの二人は思わず溜息をついた。
千
「おい、成田よぉ・・・。お前、もしかして寝てる所を俺たちが叩き起こすと思ってんのか?」
譲
「うん。・・・えっ、違うの?」
千
「・・・・・・」
綾
「・・・・・・」
にこやかに答える譲に、綾子と千秋は返す言葉もなく、がっくりと項垂れてしまう。
高
「・・・仕方ない。では、私から説明してやろう」
余程哀れに見えたのか、高坂が助け舟を出し、譲に今回の作戦を耳打ちした。
すると最初は穏やかだった譲の顔が見る見る変わっていく。弥勒発現かと思われたが、譲から出た言葉は意外なものだった。
譲
「なぁ〜んだ・・・そうなんだ。それならそうともっと早くに言ってくれればいいのに!男同士なんてそうそう見れるもんじゃないしね
」
ニコニコしながらの爆弾発言に、千秋と綾子は唖然としている。やはり、弥勒は健在のようだ。
譲
「さ!早く行こうよ」
綾
「えっ?えぇ・・・」
千
「・・・あぁ、そ、そうだな」
萎えそうな気分を切り替え、千秋は再びドアに張り付き中の様子を探りだした。
ドアは完全に閉まっているので中の様子は判らないが、確かに声らしきものが聞こえる。
しかし防音設備がしっかりしているせいか、微かな音としか聞こえてこない。
千
「う〜ん、どうすっかなぁ・・・」
綾
「見れなきゃ意味ないじゃない!」
譲
「そうだよ。声も聞き取りにくいし(譲、黒成田化)」
高
「・・・・・・・・・・」
聞こえそうで聞こえないという、なんとも歯痒い状態を何とか出来ないかと4人で模索していた。
その時 ─────
「どうじゃ?美獣は好い声で啼いているか?」
『○★♂◆@▲?∞〜〜〜!!』
またまた突然に降って湧いた声に、3人は声にならない声を上げ、声の主を振り返った。
高
「おや、信長殿。遅かったですなぁ」
信
「あぁ、阿蘭が気絶しておったのでな。起こすのに手間取っておったのだ」
3人が金魚のように口をパクパクさせているのを他所に、高坂は平然と信長と話し出した。
千
「・・・高坂、もしかしなくてもお前が呼んだのか?」
高
「当たり前だ。こんな面白い余興、信長殿に教えなければ後で破魂波をお見舞いされるわ」
高坂は悪びれずに飄々と話すものだから、千秋と綾子は言っても無駄か・・・と、大きな溜息をついた。
そんな2人を知ってか知らずか、信長が千秋にずいっ!と顔を近付けてきた。
信
「で、中の様子はどうなんじゃ?!」
千
「・・・いるのは確かだが、何やってるかまでは判らなねぇ」
いつまでも落ち込んではいられない!と千秋は気持ちを切り替え、信長に答えたが、信長は慎重な態度が気に入らないのか、ドアの方を一瞥するとニヤリと笑った。
信
「ふっ!儂ならとっととこのドアを蹴破って中に入るがな」
「殿、それでは覗きの意味がありませぬ」
綾
「げぇっ!蘭丸もいるのぉっ?!」
いつの間にか信長の後ろに立っている蘭丸を見付け、綾子は顔を顰めたが、蘭丸は当然と言わんばかりに胸を張った。
蘭
「私は殿に従うだけだ」
千
「ご苦労なこって・・・」
信
「おい、こんな所で座談会している場合ではないだろう。早くせんと終わってしまうぞ!」
そろそろイラついて来たような信長に、今度は千秋がニヤリと笑ってみせる。
千
「心配すんなよ。直江は絶倫だからな」
譲
「へぇ〜!直江さん凄〜い
」
高
「・・・そうだったか?」
綾
「・・・・・・・・・・」
千秋の言葉に皆それぞれの反応を見せ、全員の目は側にある書斎の方へと向けられた。
信
「さて。それでは存分に美獣の舞を楽しむとするか!」
蘭
「はい、殿
」
綾
「きゃ〜!ワクワクするわ〜
」
千
「さぁて。そろそろマジに、いきますか」
6人は中の声を聞こうと、壁に張り付くヤモリよろしく、それぞれドアに張り付き耳を澄ました。
千
「・・・おい、やっぱ聞こえね〜ぞ」
譲
「うん・・・判り辛いよぉ」
信
「・・・・・・・・・」
綾
「あ〜!もうっ!歯痒いわ!!」
高
「直江め、まだ忠犬の皮を被っておるのか?」
僅かな物音、という風にしか聞こえないのがもどかしく、皆小声ではあるが愚痴りだす。
蘭
「ふん!口ほどにもない。あんな小さい声しか出させられんとは・・・。やはり、御屋形様の方がテクは上のようだな」
全
『・・・・・・・・』
蘭丸の暴露とも惚気とも取れる発言に、信長と高坂以外の者は絶句してしまう。
その時、何かが切れる音がした・・・・・・気がした。
信
「あぁ〜!鬱陶しい!!このドア、壊してくれるわぁ〜っ!」
蘭
「お、お止め下さい!殿っ!!」
千
「だぁ〜っ!止めろって!!」
暴れ出し、今にもドアを蹴破らんとする信長の強行を止めようと、5人は必死に信長を押さえつける。
信
「放せ!破魂波を喰らいたいのかぁ〜っ!」
綾
「アンタがここで暴れたら計画が台無しじゃないのっ!」
高
「落ち着かれよ、信長殿!」
譲
「そうだよ、気づかれたら面白くないよ!」
信
「うるさいっ!放せぇぇ〜っ!」
千
「クッソ・・・!こ
ン
のバカ殿ぉっ!!」
癇癪を起こした子供のように言う事を聞かず暴れる信長。
もうダメかと思われたその時、一同はある一人の人物が発するオーラに気付き、ふと動きを止めた。
周りの空気さえ一瞬で凍るようなオーラである。こんな恐ろしい気を発する人物は一人しかいない。
全員の目が、その仁王立ちする人物を捕らえた。
譲
「・・・・・・信長ぁ」
声色が変わった譲を見て全員が固まる。
譲
「言う事を聞かないんなら・・・」
信
「な、何だ・・・申してみよ!」
全
『・・・・・・ (((ヽ(゚〇゚;)オロオロ(;゚〇゚)ノ))) 』
弥勒化した譲に信長が食ってかかる。
そんな世にも恐ろしい状況に、残りの者は巻き込まれないようにと後退りした。
譲
「たとえあんたが信長でも・・・・・・(ニョキッ!)」
全
(うわっ!牙が出た!!)
譲
「喰らってやるよ〜〜♪」
信
『・・・・・・(大汗)』
・・・・・・やはり弥勒は最強のようである。
「何をそんなに騒いでおる」
千
「げっ!また出たっ」
またまた現れた人物を見て、今度は驚くより呆れてしまった一同である。
ある意味、一番やっかいな人物 ─── 北条氏照であった。
照
「人を化け物のように言うでないっ!」
綾
「・・・怨将なんてみんな立派な化けモンだと思うけど?」
千秋の言い方が気に入らなかったようで、ムッとした表情の氏照に綾子が平然と諭す。
照
「・・・確かに。ってそう言う問題ではない!さ、三郎は如何したっ?!」
千
「ここは防音設備がしっかりしてっからな。中の声が聞こえにくくて判り辛いんだよ」
何で皆オレに聞いて来るんだよ!と、怒りたいのを抑え、千秋は現状説明する。
照
「ふっ・・・何だ、そんな事か。・・・小太郎!」
「・・・はい、ここに居りまする」
全
『 (゚∇゚|||) 〜〜〜〜!!』
どうやっているのかは謎だが、天井からぶら下っていた小太郎が音も立てずに氏照の背後に降り立った。
千
「し・・・心臓に悪いぞ、お前のその登場の仕方はっ!」
小
「そうか?こんなもの忍びの者としては当たり前だ」
高
「・・・さすがは風魔の頭領
」
綾
「長秀・・・、機械人間にそんな事言っても無駄よ」
綾子が驚かされた腹癒せに、さり気なくイヤミを言う。しかし、小太郎は気にならないのか無視するのか氏照に話しかけだした。
小
「氏照殿、何か・・・?」
照
「おぉ、そうじゃった!小太郎、例の物をこれへ」
小
「はい・・・」
全
『・・・・・・?』
小太郎がポケットをごそごそと探り、何かを取り出した。
ジャラッと音を立てて、両掌に現れた物を見て、一同は理解できずに黙って見詰めている。
千
「これ・・・何だ?」
ようやく発した千秋の問いに、小太郎は表情一つ変えずに答える。
小
「これは風魔特製の補聴器だ。これを使えばよく聞こえるはず・・・」
小太郎の手の上にあるのは小さな巻き貝。
そこで、ふと思い出したのか、千秋がポン!と手を叩きながら小太郎に話しかける。
千
「あぁ!阿蘇で使った通信機みたいなもんだな?」
小
「機能は違うが、使い方は一緒だ」
綾
「へぇ〜、便利な物があるのね〜」
皆揃って小太郎の掌にある小さな貝をしげしげと見つめていたが、一人冷静な高坂は冷ややかな目で氏照を見た。
高
「・・・ところで氏照殿。ここへは何用で?」
譲
「へ?高坂さんが呼んだんじゃないの?」
高
「当たり前だ。三郎殿の喘ぎ声を聞いて正気でいる訳ない輩を呼んで騒ぎを大きくする様な趣味はない!」
千
「・・・、信長呼んどいて言う事かよ」
その通り!というように、千秋の言葉に皆が頷いた。
信
「よし!これで美獣の声を堪能出来るぞ、阿蘭っ!」
蘭
「はっ!」
信長の一言で、ここに何をしに来たか思い出した一同は、蘭丸に続いて貝をそれぞれ手に取り装着する。
信
「直江のテクが未熟なら儂が替わってやるぞ〜
」
全
「・・・・・・・・・」
8人はそれぞれ貝を耳に付け、ドアに張り付いて中の音を聞く。さて、そこで行われていたのは・・・?
素材(C) Angelic
ぽろぽろの素材やさん
やっとこさアップできました〜!
いやぁ・・・あまりの文章につい修正したら収集つかなくなってしまった(汗)
なんせ登場人物が多いんで、読み返してみると誰がどの台詞かだんだん混乱してくるんですよ〜!
少しは判りやすいかなぁ、と多くなってきた辺りから台詞前に誰か、と表示するようにしたんですが・・・いかがでしょう?(^^;
続きは・・・・・・(汗) 5000カウント後とか言ったら殴られる?(−−;