The forked road of the destiny.










さぁ、目を覚ませ


我が欲望よ





今こそ封印を解き放ち


あの人の許へ





決して貴方を一人にしないと誓ったから


俺の在る場所は貴方の傍らと誓ったから





貴方を一人では逝かせない





絶望にその身を窶しても


這い上がってくる貴方の強さが愛しくて





でも 寂しがり屋な貴方は


いつも温もりを求めていた





貴方の為ならば


この身が滅んでも惜しくはない


例えこの身が滅んでも


貴方への想いは永遠に貴方を包んでいるから






もう後戻りは出来ない


道は目の前にあるだけ





どの道を選んでも


貴方はきっと悲しむだろう





だけど俺は貴方を失えない


もし失うとするならば


俺を一緒に連れて逝ってくれ





400年という長い月日を


寄り添い生きてきた自分の半身だから


一人置いては逝かないで





生き残った後に続く長い道が


例え地獄であったとしても


貴方と一緒ならば耐えて行けるから





貴方が傷つかないように


貴方が涙を流さないように


俺が貴方を守るから





いつか貴方に話した事・・・覚えていますか?


『人の想いは山河に染み込み


決して消える事はない』 と





2人 共に果てようとも


2人の想いは消える事なく残り続ける













さぁ、目を覚ませ


そして封印を解け










封印を解く鍵はひとつ










愛しい我が魂の名前



















「・・・高耶さん・・・・・」



















愛しい人の名を呟いた男はそれまで閉じていた瞼をゆっくりと開いた


瞼の奥にあった鳶色の瞳に迷いは一切ない





男は静かに立ち上がる





前を見据えた瞳に映るのは目の前の景色ではなく


もっと遠い遥か未来を見つめている





愛しい人の気配を探しながら・・・





男は左腕にある歪んだブレスレットを強く握り締める


己の犯した罪の傷跡と一緒に・・・





そしてブレスにそっと口付ける


愛しい人を想いながら










顔を上げて直江は歩き出す


もう決して戻る事は出来ない道を









最後の岐路となるであろう







赤い髪の魔王の許へ────







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